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第4章 街の友人として
 ~自分の活動スタイルを発見~


 第3章でご紹介したとおり、ボランティア休職の前半は、障害者施設に通ってする活動が中心でした。それが後半の2年目に入ると、自分の活動スタイルを発見して、そちらに軸足を移していきました。
 私は施設での活動を通じて、自分にできることは「支援者でも家族でもない『近所のおじさん』として、障害のあるひとと自分の双方に意味がある人間関係をつくること」ではないか、と考えるようになりました。「ボランティアとして助ける」のではなく、「街の友人としてつきあう」のが、私に望まれていることなのではないか。日本の地域には、障害のあるひとと日常を一緒に暮らすひとが少なすぎる。自分がそういうひとになって、仲間を増やしていきたい。そんな思いが強くなってきました。

 ある日、通っていた施設の入り口の自動ドアに、小さなチラシが貼ってあるのを見つけました。それがこの後ご紹介する「ビー・フレンズ」との出会いでした。この章では、「ビー・フレンズ」をはじめ、街の友人としての活動を4つご紹介します。

【1】ビー・フレンズ(友だちになろう)

 「ビー・フレンズ」は「パートナーシステムちば」が運営している活動です。「パートナーシステムちば」は、千葉市で障害をもつ人が、安心して充実した生活を送れるように活動している会です。障害のある子どもが成長するとともに、家族から離れて地域のひと(マイパートナー)と過ごせるようになることを目指しています。「ビー・フレンズ」は、その一緒に過ごす地域のひとを育てる活動です。私は、「障害のあるひとを地域で支援するひと(パートナー)を育てる活動」という考え方に惹かれました。

 「ビー・フレンズ」のボランティア募集のチラシには、次のように書いてありました。
 「障害があっても、ずっと地域で暮らしていきたい」・・・そんな当たり前の願いを現実にのものにするためには、様々な立場の方の様々な支援が必要です。パートナーシステム千葉のおでかけサークル「ビー・フレンズ」では、障害をもつ子どもたちと一緒におでかけして、カラオケ・ボーリング・遊園地などで遊んでくださる学生さん、主婦、一般の方を募集しています。
・「障害のあるひとと関わりたいけど、どう接したらいいの?」「ボランティアしてみたいけど・・・ちょっと不安」と思ってる方
・ヘルパーの資格はあるけれど、実体験が少なくて障害のあるひととの関わりに自身のない方
・会社員、OLの方も歓迎します

 活動は月1~2回。サポートリーダー1名、ボランティア数名、障害のある子ども数名が参加します。子どもは知的障害のある10~20歳が中心で、子ども1人にボランティア1~2名が一緒に行動します。朝集合して目的地まで移動し、現地で過ごしたあと戻ってきて解散。その後、サポートリーダーとボランティアで、お茶を飲みながら簡単なミーティングをします。
 一度、「ビー・フレンズ」として助成金を獲得するための公開選考会で、ボランティアとしてスピーチさせていただいたことがあります。その内容を読んでいただくと、「ビー・フレンズ」のことをよく理解していただけるのではないかと思います。

*** 以下、スピーチの内容 ***

 私はボランティアとして、昨年5月からビー・フレンズの活動に参加しています。最近はボランティア活動がさかんになってきましたが、「何かやってみたいけれどきっかけがない」、という人は多いのではないでしょうか。ビー・フレンズはそういう人達に、ボランティアの入り口を提供する、とてもよい活動です。初めての人が、おつきあいのしかたを身につけていくには、実際にふれあった上で、経験豊富な講師にアドバイスをもらうのが一番です。1日の活動の後に「今日はとてもいい感じでしたね。次はこうしてみるともっといいかもしれませんよ。」と講師に言ってもらえると、次回の活動が楽しみになります。私は、地域に住む「近所のおじさん」として、障害のある方と自然におつきあいをしていきたいと考えています。そうすることで、私たちボランティアの心も、障害のある方の生活も、豊かになっていくと思います。私の仲間が地域にひとりふたりと増えていくよう、是非ビー・フレンズの活動をご支援ください。

*** 以上、スピーチの内容おわり ***

 この選考会で、31団体のうちトップの評価で助成が決定しました。障害のあるひと自身や家族と一緒に、地域における一般のひとによる支援の必要性を訴え、しかもそれが評価されたことを、とても誇らしく思いました。

 それでは、ある日の活動の様子をご紹介します。実はこれは「失敗談」です。ボランティアをしていると、楽しいことや嬉しいことが多いのですが、もちろん失敗したり反省したりすることもあります。この日の出来事を思い出すたびに、このような経験をしながら、私はいろいろなことを学んできたんだなと思います。

*** 以下、ある日の「ビー・フレンズ」の様子 ***

 その日は「知的障害のある少年1人+ボランティア2人」の組み合わせで、外出することになりました。目的地は、東京池袋の「サンシャイン60」です。ボランティアは私と学生さん(女性)の2人。私はボラ経験はそこそこあったものの、「ビー・フレンズ」は初参加。学生ボランティアさんは福祉系大学の学生で、「ビー・フレンズ」は数回目の参加でした。少年は学生ボランティアさんとは2度目、私とは初対面です。
 朝は三人とも緊張気味でしたが、少年の明るいキャラのおかげで、道中しだいに打ち解けてきました。目的地に着く頃は、三人ともこの外出を楽しんでいました。昼食をとって、いよいよ本日のメインイベントの「60階の展望台」。エレベーターで一気に最上階へ。降りるとチケット売り場がありました。係の人が話しかけてくれました。
 「今日はあいにくの天気で、景色がよく見えません。それでもよろしければ、チケットをお求めください。」

 なるほど、この日は小雨が降っていました。60階からはきっと東京の街はよく見えないでしょう。
私   :「どうしようか?」
少年  :「どうしましょう?」
学生ボラ:「困ったねえ」
私   :「見たい?」
少年  :「どうしましょう?」
学生ボラ:「困ったねえ」

 誰も「こうしよう」と言わず、いつでも決まりません。しばらくそんな時間を過ごした後、しかたなく私が言いました。
私   :「やめとこうか」
少年  :「やめときますか」
学生ボラ:「そうですね」

 結局、私の投げかけに誰も反対することなく、やめることになりました。私たちは、60階からエレベーターを降り、東急ハンズに寄って帰りました。
 その後、少年は「見たかった」とは言いませんでした。でも、きっと「見たかった」に違いありません。だって、この日のメインイベントだったのですから。景色がよいかどうかではないのです。行ってみて「見えなかったね」でよかったのでしょう。「見えなかった」ことが、この日の思い出になったはずです。

 私は「なぜやめてしまったのだろう」と、とても後悔しました。解散後の反省会で、私は率直にこの話をしました。
「今日は失敗してしまいました。きっと彼は見たかったのだろうと思います。彼の気持ちを感じてあげられませんでした。申し訳ないことをしました。」

 きっと私は、少年の気持ちではなく、自分の価値観で判断してしまったのだと思います。学生ボラさんも、「せっかくだから行きましょうよ」と言ってくれればよかったのに。人のせいにしても、しかたありません。「やめとこうか」と投げかけたのは私です。きっと学生ボラさんも、自信がなかったのだと思います。
 私にとってはよい経験でしたが、少年にとってはせっかくの経験を逃してしまいました。その後も少年に会うたびに、「ごめんな」と心の中で謝っていました。

*** 以上、ある日の「ビー・フレンズ」の様子おわり ***

 年に何回か、障害のあるひとの家族と活動に参加しているボランティアが集まって、懇親会を開いていました。ボランティアは、参加した感想、不安なこと、うれしかったこと、などを話します。家族は、親として心配なこと、ボランティアや活動への期待などを話します。お互いの気持ちを交わしてわかりあうことで、今後の活動をよりよくしようというものです。

ビー・フレンズ

 やりとりとしては、次のような感じです。
・出かけた先でお昼を食べに店に入ったのにほとんど食べなかったとき、「どうして食べなかったんだろう」「食べなくて大丈夫だろうか」と、心配になったり責任を感じたりすることがある。
→ 一食抜いても大丈夫。あまり気にせずコミュニケーションをとることを心がけてくれればよい。
・1対1のペアと、1人にボランティアが2人つくのとどちらがよいか。
→ 最初は不安なので1対2の方が安心だが、慣れてきたら1対1の方がよいかもしれない。

 家族の思いも語られます。
・長く続けてほしい。一人でも多く参加してほしい。
・年一度でもいいから、おつきあいを続けてほしい。
・家にいるときや普段の様子も知ってほしい。
・だんだん家族より地域の人と過ごす時間が増えていってほしい。

 ボランティアと家族の交流だけでなく、他の人の活動の様子や意見・感想を聞くという意味でも、よい機会になります。ボランティアは、他のボランティアや家族の話を聞いて、「私の場合と同じだ」という安心したり、「そうする手もあるんだ」と気づいたりできるからです。

 「パートナーシステムちぱ」のメンバーの皆さんは、「地域で暮らすことが大切」という新しい考え方をもつ方ですので、比較的若いご家族の方が多く、当事者であるお子さんは当時10歳代が中心でした。したがって、ボランティアも子どもたちと同年代の学生さんが多く活躍しています。年代が近いボランティアと楽しそうに一日過ごす姿を見ると、地域で自然に暮らすという当たり前のことの大切さを強く感じます。
 私はというと、子どもたちとはチョット(倍以上)年代が違うのですが、あまり気にせず一緒に楽しむよう心がけました。朝はお互いに遠慮したり探りあったりなのですが、だんだん打ち解けていって、帰りの電車の中ではベタベタしたり、からかいあったりするようになります。「あっ、受け容れてくれた!」という瞬間があると、たまらなくうれしくなります。これがあるから、やめられないのです。

 「ビー・フレンズ」としても悩みはあるようでした。学生さんが多いため、せっかく仲良くなってパートナーになっても、卒業と同時にお別れになるケースが多々あるそうです。主婦や社会人の参加者が少ないのが課題でした。私は休職中に、5回(グループでの活動に4回、1対1の個別外出に1回)参加しましたが、復職とともに活動からは遠ざかってしまいました。趣旨や内容は共感するのですが、やはり年代の差が気になってしまいました。その後は、同年代のひとたちとの友だちづきあいである「コミュニティフレンド」「木村さんと写真撮影」「大山さんと野球観戦」が、活動の中心になっていきます。(後述します)

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※この記事の元記事(ブログ『ボランティア雑記帳』)
 友達になろう(ビーフレンズ)(1)「活動内容」
 友達になろう(ビーフレンズ)(2)「今後への想い」
 友達になろう(ビーフレンズ)(3)懇親会
 見たかっただろうなあ
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