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第6章 伝えて広げる
 ~理解者を増やす、仲間を増やす~


【1】当事者が講師の啓発活動

 ボランティア休職の2年間の後半に入って、新しい活動として検討したもののひとつに「ガイドヘルパー」がありました。ガイドヘルパーは、障害のあるひとの外出に付き添い、社会参加を支援する介助者です。ガイドヘルパーには、全身性障害(車椅子利用者)、視覚障害、知的障害の3種類があって、基準を満たした講座を修了すると、資格が得られます。
 私はこの資格を取得しようと、養成講座を探していました。あわせて、障害についての啓発活動にも関心がありました。そんなとき、千葉県のホームページで見つけたのが、養成講座と啓発活動の両方の活動を行なっている「市民福祉活動センターBit(ビット)」という市民グループでした。私は迷わず代表の佐々木さんに電話をかけました。

 「ガイドヘルパーの養成講座のことでお伺いしたいのですが」と切り出したところ、「講座を受講するほうですか?講座を実施する方ですか?」と聞かれ、「両方です」と答えました。佐々木さんは、「今度活動の報告会があるので、それをご覧になっては?」と教えてくれました。
 それは、NPOが県に提案して委託事業として予算がついた活動の報告会でした。Bitは「当事者主体のガイドヘルパー養成研修事業」について発表していました。報告会のときに私がとったメモのキーワードをご紹介します。
・当事者自身が指導!
・これまではサービス提供者視点の研修
・福祉サービスを受ける者が研修を運営
・当事者が望んでいるヘルパーの養成
・過剰介助・甘えがない、対等な立場で研修
・講師になること自体が社会参加

 私は報告会に来て初めて、佐々木さん自身が視覚障害者であることを知りました。他の発表がレジュメを読むだけの単調なものが多かった中で、佐々木さんをはじめ、講師になった方やスタッフの皆さんが大勢出てきて、自分の言葉で語るBitの発表は、とても迫力があって素晴らしいものでした。報告会のあと、私は佐々木さんに声をかけ、「はじめまして、先日お電話した者です。素晴らしい発表でした。是非活動に参加させてください。」と言いました。これが佐々木さんとBitの皆さんとの出会いです。

<ガイドヘルパー養成講座(全身性障害)の様子>
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 以下は、Bitの団体紹介文です。
 「市民福祉活動センターBitは、福祉に熱い思いを持つ千葉市民が中心となって、福祉啓発を主な活動としている団体です。bitとは小片という意味があります。一つ一つの力は小さくても、集まれば大きな力が出る、パソコンのbitのように…。『市民が力を出し合って先駆的な福祉の活動をかろやかに行なおう』というのが私たちの思いです。福祉は特別なことではなく、誰もが自分らしく安心して暮らすための支えあいです。私たちは『より良い地域福祉をつくるためには、高齢や障害のある当事者の生の声が不可欠』と考え、福祉に関わる当事者や家族、現場で働く人たちの講演と、当事者にとって適切で快適な支援のあり方について研修を行なっています。現在、千葉市内の小・中学校に、福祉教育の企画や講師の派遣を行なっているほか、千葉県の行政サービス研修等、社会人への啓発活動にも力を入れています。」

 私が、最初に参加した活動は、小学校と中学校の福祉講座でした。小学校では、視覚障害者と車椅子利用者のガイドを中心とした内容でした。当事者の話を聞いたあと、ガイドの実習を行ないます。通常の講座では、障害のないひとがアイマスクをしたり車椅子に乗ったりして、交代でガイドを体験します。でもBitの講座では、数人の当事者が講師をしますので、「本物の」障害者のガイドを体験できます。そして、「もっとこうしてほしい」という生の声を聞きながら実習できます。さらに、普段ふれあいがなかった子どもも、障害のあるひとを身近に感じることができます。

 中学校では、高齢者がテーマでした。ケアマネージャーの方の話を聞いたあと、ロールプレイを行ないます。ロールプレイは次のような感じです。
 車椅子に乗ったおじいさんが、付き添いの娘と散歩していると、近所のひとに出会い雑談をして別れます。この登場人物3人による寸劇を、生徒が演じます。寸劇を見ていた生徒に感想を求めます。「娘はやさしく車椅子を押していてよかった」、「近所の人と仲良く話していてよかった」などの感想がでます。進行役のスタッフが、「でも、近所のひとは誰と話していましたか?」と聞くと、一瞬シーンとなります。寸劇の中では、近所のひとは付き添いの娘としか話していませんでした。それに気がつき、生徒の間からは「あ、そうかぁ」という、ざわめきが起こります。私はこのときのことを鮮明に覚えています。こういった「気づき」がとても大切で、講演を1時間聞くよりずっと効果的です。
 私はほとんど見学していただけで、ほとんど何もお手伝いできなかったのですが、この2つの講座を通じて、Bitの特色ある啓発活動にとても共感しました。

<グループディスカッションの様子>
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 Bitは、千葉県の職員を対象にした「心のバリアフリー」という障害についての理解を深める研修の運営を、長年に渡って受託しています。
 プログラムは、3つのパートに分かれています。最初は「フォーラム」で、障害のある人の話を聴くパートです。様々な障害のある当事者の生の声を聴いてもらいます。私も地域の人の視点から、少しだけお話をさせていただくことがあります。
 次は実習で、介助技術を学ぶパートです。視覚障害と車椅子の介助について、実際に身体を動かして学んでもらいました。
 最後は、まとめのパートです。「気づいたこと・学んだこと」と「今後実践したいこと」を各自が考えて、グループディスカッションをしてもらったり個人に発表してもらいます。

 実習でよく使うおもしろいプログラムをひとつご紹介します。
 冒頭いきなり司会から次のような話があります。「皆さん少し緊張ぎみではありませんか?リラックスしていただくために、おせんべを用意しました。食べながら勉強しましょう。」
 受講者の皆さんは、少しとまどった様子です。「まだ始まったばかりなのに…。」「お菓子食べながらなんて、いいのかしら…」「へぇ、随分気楽な研修だなぁ、でもなんか変…」
 おせんべが全員に行き渡ったところで、説明があります。「はい、今日のおやつはおせんべです。2人1組になってください。1人は手が使えません。もう1人は相手の方を手伝ってください。」
 受講者全員、苦笑いで「なぁんだそうか。変だと思った。」という反応。各ペアで実習が始まります。

 しばらくして受講者から感想を聞きます。「小さく割ってくれたので、食べやすかった。」「まだ口に入っているときに、次を勧められると焦った。」「おなかがすいていなかったので、本当は食べたくなかった。」
 ここで講師から質問があります。「ところで皆さん、どうやって食べたいか聞きましたか?」皆さん首を横に振ります。
 講師は、「皆さん小さく割って食べさせていましたね。でも、もしかしたらバリッと食べたかったかもしれませんよね。その前に、食べますか?と聞くべきだったかもしれません。実際、食べたくなかったという方がいらっしゃいました。まず、相手にどうしたいのかを聞くことが大切です。相手の気持ちや意志を聞くのが、介助の基本です。」
 とても簡単で時間もかからない実習ですが、介助の基本を体験から「気づく」という、とてもおもしろくて効果的な方法です。

<ガイドヘルパー養成講座(視覚障害)の様子>
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 ここで、障害についての啓発研修で陥りがちな誤解についてお話しします。
 「アイマスク歩行体験」というものがあります。福祉教育等で行われる手法のひとつです。健常者(見える人)がアイマスクをして見えない状態になり、白杖を使ったり介助を受けて歩いてみる、というものです。
 「アイマスク歩行体験」は、「見えないということを体験してみて、とても不便だということを感じて、手助けをしてあげようという気持ちになる」ということを想定して行うものだろうと思います。
 これに対して、視覚障害者の方は、「突然アイマスクをしても何も理解されない。そんなに怖いと思って毎日生活しているわけではない。かわいそうだなんて、思ってほしくない」と感じる人が多いようです。(全ての方がそう感じるわけではありません)
 確かに、この「体験」では、障害に対する「誤解」が生じてしまう可能性があります。

 また、違う目的で「アイマスク」を使う場合があります。視覚障害者の介助技術を学ぶときです。この場合の目的は、「視覚障害者を介助する方法を身につけてもらうために、視覚障害者の役割をする人が必要なので、見える人がアイマスクをして、その人を介助する練習をする」というものです。つまり、「見えないことの体験」ではなく、「見えない人の介助の練習」が目的です。
 本来は、視覚障害者の方(当事者)が介助される人になり、練習するのが一番良いでしょう。Bitの啓発活動では当事者の方が多数参加しています。受講者は、当事者から「こうしてほしい」「そうされると困る」という生の声を聞きながら、介助の技術と心構えを身につけることができます。しかし実際には、当事者の方なしに介助の練習を行うことが多いと思います。そのときに受講者は何を感じるか。
 「怖かった」「見えないって大変なんですね」「助けてあげたいと思いました」・・・
 目的は違っても、結局感じることは同じ。私はこの声を聞くたびに、「違うんだけどなぁ」と思い、「いえいえ、皆さんは今日初めて見えない状態を経験したわけです…。視覚障害者の方はこの状態に言ってみれば慣れていますので…。今日の皆さんほど怖いと感じて毎日過ごしているわけでは…。」と必死に説明していました。

 福祉教育などで感じてほしいことは、「障害のある人も自分たちと同じ」ということのはずです。にもかかわらず、「障害のある人は自分たちとは違って大変なんだ」と感じてしまう。なんとも皮肉なことです。
 いくら講義で「障害のある人と共に生きよう」と語っても、「怖い」という体験は強烈なので、どうしても「違う、大変」が心に重く残ってしまいます。
 私が前述の説明の後、「障害のある人は皆さんと違うことろもあるかも知れませんが、同じところもたくさんあるわけで…。地域で生活している人ということではなんらかわりない…。大切なことは…。」と熱弁をふるっても、心ここにあらずという感じの方が多かったです。

 一番良いのは、前述のBitのように当事者を介助しながら勉強することだと思います。それも、10分や20分建物の中を歩くだけでなく、半日くらい電車やバスに乗って出かけ、途中でレストランでお昼を食べて帰ってくる。普段の生活の様子や、楽しみにしていること、本当に大変なこと、などを話しながら。そうすれば、趣味が同じだったり、自分より得意なことがあったり。そんなふれあいを通じて、「障害のある人も自分とかわらないんだな」と感じることが、一番大切なのではないでしょうか。
 この点を少しでも感じることができたら、大きな一歩になると思います。極論すれば、福祉教育や啓発活動は、この1点に絞ってもよいのかもしれません。「階段の手前で上りか下りかを告げる」「狭いところでは腕を後ろにまわして縦1列になって通る」などのテクニックは、すぐに忘れてしまいます。それよりも、「助けてあげる人達」ではなく、「共に生きる人達」であることがわかれば、あとはコミュニケーションをとることで、どうにでもなっていくのではないかと思います。

<レストランでの食事介助の様子>
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 私はBitの活動に参加させていただき、自分のなかに新しいテーマを意識するようになりました。それが、一般の大人の人達への啓発活動です。
 障害のあるひとについて、一般のひとの理解はまだまだ不足しています。障害について知らないひとが多い。いえ、知らないというより、障害のあるひととふれあったことがないひとが多い。私もそうでした。私は、30歳代後半でボランティアをはじめるまで、障害のあるひととのふれあいは、ほとんど全くありませんでした。小学校には「特殊学級」がありましたが、一度も話したことはありませんでした。中学から大学まで、学校で障害のある学生を見かけることはありませんでした。近所や街でも、車椅子や白い杖をほとんど見かけた記憶がありません。
 最近は、小学校や中学校の「総合学習」などで、福祉講座が行なわれることも増えてきました。少しずつバリアフリーになり、障害のあるひとの社会参加も増えて、街でもときどき見かけるようになりました。ですから、まだ不十分とはいえ、今の子どもは比較的ふれあう機会がでてきています。

 問題は大人です。特に、会社員をはじめとした勤労者は、仕事中心で社会参加が少なく、つきあうひとが限られています。しかも、彼らの多くはそのことに気がついていません。
 私は、大人の、そのなかでも勤労者に対する啓発活動が、とても大切なのではないかと考えています。もちろん、これからの世の中をつくっていくのは子どもたちです。でも、その子どもたちを育てて、子どもたちに機会を与えるのは、大人です。前述のBitは、子どもたちへの活動と同時に、先生や自治体職員に対しても講座を開いています。できれば、企業などにも広げてられたらと思いました。
 いつかそんなことを、Bitの皆さんや街の皆さんと一緒にしたいと、今も思っています。理解者が増え、ボランティアが増え、地域の友人になるひとが増え、そして街のひとが障害のあるひとと自然につきあうようになったとき、「ボランティア」はいなくなるのだと思います。

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※この記事の元記事(ブログ『ボランティア雑記帳』)
 当事者が講師「(1)出会い」
 当事者が講師「(2)活動に参加」
 認め合う福祉学習のために(1)
 認め合う福祉学習のために(2)
 大人の啓発
 障害って大変なんだ!?
 Bitの研修「だれもが暮らしやすい社会とは」
 Bitの研修「今後実践したいこと」
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【2】ボランティアの輪を広げる活動

 「伝えて広げる」活動のひとつめは、【1】に書きました「障害についての啓発活動」でした。もうひとつは「ボランティアの輪を広げる活動」です。ボランティアの意義と楽しさを伝えて、仲間を増やしていきたい。そんな思いで「ボランティア入門講座」を何度か開催してきました。
 なかでも、千葉県の「さわやかちば県民プラザ」で2011年と2012年の2年連続講師をさせていただいた「高校生のためのボランティア体験講座」は、私にとって貴重な経験となりました。受講生は高校生ばかり約50人。2時間いただいて、ボランティアの楽しさと心構えについて、お話させていただきました。

ボラ講座1

 この講座は、6月から8月にかけて計6回のシリーズとなっていて、この日が第1回です。初日は、オリエンテーションとボランティアの概要について学び、2回目以降は環境・災害・福祉・保育等、テーマごとに講義と実習が行われます。そして、夏休みに自分で決めた活動を実践して、最終回に発表する。そんな構成になっています。
 受講生は学校を通じて申し込み、休みの日に講座に参加します。私は講義の冒頭で、「どうしてこの講座に参加したの?」尋ねてみました。「以前からボランティアに関心があったから」「将来の仕事のための経験として」という人が多かったようです。ボランティア経験者は少なく、これを機に始めようとする人の方が多いようでした。意外だったのですが、「東日本大震災がきっかけ」という人は、それほどいませんでした。

 司会者の方は、私を次のように紹介してくださいました。
 「講師の方はいろんなことを経験されています。しかし講師の方は、その生き方、普段の生活の仕方そのものが、ボランティアなのだと思います。今日は、講師の方が何をしたかというよりも、その生き方から何かを感じ取ってください。」
 私を「エライ人」として紹介するのではなく、「普通の人が自然にボランティアする、そういう生き方を参考にしてほしい」、という意味合いでそうご紹介いただいたのだと思います。

 私の話した内容(目次)は次の通りです。パワーポイントの画面と紙の配布資料を使ってで説明しました。具体的な中身は、第9章と第10章でご説明します。
1.私のボランティア
 ①初めてのボランティア ②ボランティア休職 ③復職後の活動 ④夢
2.ボランティアの意義
 ①一般的なボランティアの意義 ②私が感じたボランティアの意義
3.ボランティアの心構え
 ①あたりまえのこと ②両方OK ③困ったボランティア ④自然体でいこう
4.ボランティアは不要!? ~最後に~
 ①「ボランティアをする」? ②ボランティアは不要になる!

 私は既に、今やっていることを「ボランティア」だとは思っていません。そして、「ボランティア」をひとまとめにして語ることよりも、「ボランティアで何をするのか」の方が大切だと思っています。ですので「ボランティアの意義・心構え」を話すのは、今となっては少し違和感がありました。しかし、これからボランティアを始めようという人には、知っておき考えておくことは意味があると思います。私も最初は「ボランティアをしていました」ので。

 最後のメッセージは、「ボランティアは不要になる!」という、やや逆説的で刺激的なタイトルにしました。
・私は、「地域の友人としての関係」を始めました。
・縁があって始めて、なぜか楽しくて続けてます。
・私の楽しそうな様子は、伝わりましたか?
・たくさんの人が、そうできたらいいなと思います。
・実現すると、最終的にはボラは不要になります。
・みんなが自然に、できることをしている社会。
・そこに「ボランティア」と呼ばれる人はいません。
・自分にできることは何でしょうか?(何でもOK)
・スゴいことじゃなくて、身近なことからどうぞ。

 これからボランティアを始める人には、ピンとこなかったかもしれません。しかし、ボランティアを始めたその先には、きっと感じるだろう(てほしい)テーマです。司会の方は最後に、「今日の資料は、この講座が終わったとき是非読み返してほしい。」とおっしゃってくださいました。私も同じ思いです。

ボラ講座2

 さて後日、講座を総括した資料が主催者から届きました。受講者の感想が書かれていて、そこには嬉しい言葉がいくつもありました。私が嬉しかったのは次の2点です。
 まず1点目は、「○○さん(私の姓)」がたくさん書いてあったことです。そして、約50名の感想文に登場した個人名は私だけでした。「○○をしたのはよい経験だった」「○○は楽しかった」ということは書いてありましたが、他に人の名前は全く書かれていませんでした。これは、私という人間と私の話に、何かを感じてくれた受講生が多かった、ということじゃないかと思っています。勝手な解釈かもしれませんが・・・。
 私の講義は初日で、感想文を書いたのは約3ヶ月後の最終回です。なのにちゃんと覚えてくれていた。最終回になって、初日に私が話した「ボランティアとは」という話を思い出してくれた。講師としては、なにより嬉しいことです。

 そして2点目の嬉しかったことは、私が最後にお話しした「ボランティアは不要になる!」というメッセージについて触れた感想が多かったことです。この言葉が「印象に残った」、「考えさせられた」という感想が複数ありました。私の話を聴いて、実際に自分で活動をしてみて、そして私の言葉を思い出して、自分で考えてくれた。とても嬉しいことです。他にも、私の話を引用しながら、「こう感じた」「こう思った」という感想もありました。
 私は「伝わった!」と思いました。そして、「やはり私は伝える活動をしたい。入り口を提供し、楽しさを伝え、活動を広げる手助けをし、仲間を増やして社会を少しずつ変えていく。そんなことが好きだし、続けていきたい。」そう改めて思いました。

 「高校生のためのボランティア体験講座」の2年目は、「ボランティアの心構え」ではなく、障害に絞った講義をご依頼いただました。テーマは 「障害とはなんだろう? 、共生社会とは?」でした。
 当日午前中のプログラムは、知的障害のある人たちとの交流会です。私は、その後の100分の講義を担当しました。受講者は、初めて知的障害者とふれあう人も多いはずです。私は冒頭で、初めてふれあった受講者の率直な感想を尋ねました。
 そして続いて、人の共通点と相違点について考えてもらいました。35項目のチェックリストを配ります。項目の内容は、性別・身長・好きなスポーツ・食べ物などです。このリストを使って、まず「自分がどんな人なのか」を記入してもらいます。次に隣の人と見せ合って、「お互いの共通点と相違点は何か」を話し合います。続いて、午前中に会った彼(彼女)すなわち知的障害のある人と自分との、共通点と相違点を考えます。これらを通じてどんなことを感じたか話し合い、「障害とは何か?」について、考えてもらいました。
 世の中にはいろんな人がいる。誰かが普通で、誰かが特別なのではない。お互いに共通点と相違点がある。それだけ。障害のある人もない人も、「ただの人」として共に生きる。近所の人や友人として、あたりまえにつきあう。そんな人を増やしたい。
 ・・・そんなことが少しでも伝わったらと思い、熱弁を振るいました。

ボラ講座3

 2015年3月に勤務先を早期退職することになり、少し時間ができたため、「ボランティアの輪を広げる活動」に再度力を入れることにしました。そして、静岡で「ボランティア入門講座」をする機会に恵まれて、シニアライフ支援センター「くれば」では、ミニセミナーを2回開催させていただきました。こちらは高校生とは違い、シニアの方が中心です。
 当日はいろいろご質問を頂戴しましたし、ご自身のご経験をお話しいただいた方もいました。私は「楽しさ」を伝えようとしたのですが、ある人は「私は長年ボランティアをしているが、楽しいと思ったことは一度もない」とおっしゃいました。「ボランティア」は大変幅広い世界を表現する言葉です。100人いれば、100通りの定義や活動スタイルがあります。そこが面白いところでもあり、難しいところでもあります。
 そして、「ボランティアほど、伝えるのが難しいテーマはない」と改めて認識しました。「なぜ楽しいのか?」「なぜ続けているのか?」は伝えられません。私自身がわからないからです。15年間探してきましたが、未だに答えは見つかりません。
 講座の翌日に、「充実したシニアライフを応援するイベント」に参加しました。そこでは、「ボランティア」という言葉が多数聞かれました。「ボランティア」は、人生を豊かにするための有力な選択肢のひとつなのだと、改めて感じました。

ボラ講座4

 静岡市社会福祉協議会の主催の講座でも、講師をさせていただきました。当日は、高校生からシニアの方まで、幅広い年齢層の方にご参加いただきました。「くれば」での講座と同様に、「豆知識」「クイズ」を交えながら、気楽に聴いていただけるように、工夫してました。また、より具体的なエピソードをお話しすることで、私の活動の楽しさをお伝えするように心掛けてみました。
 私のプレゼンの後、参加者の皆さん一人ひとりから、感想・質問・思いなどをお話しいただきました。これからボランティアを始めようとする方もいれば、既にたくさんの活動をリードしていらっしゃる方もいらして、さまざまなお話をいただきました。
 「ボランティアの楽しさや意義をなかなか理解されないが、どうしているか?」「高齢者との話題に困ることがあるが、どうしたらよいか?」などのご質問をいただいたり、中には私の話に刺激を受けて、「障害のある方と関わる活動を始めたい」とおっしゃる方もいました。
 このときは、ボランティアセンター(社会福祉協議会)の主催でしたので、具体的な活動の紹介もセットでできたのが、とてもよかったと思います。参加者の皆さんが、実際に活動を開始して、社会活動の輪が広がっていくことを心から願っています。

 率直なところ、「伝える活動」は、伝わったり伝わらなかったりです。相手のニーズとうまく波長が合った場合は通じ合うことができますが、なかなか話がかみ合わずお互いに不完全燃焼に終わることもあります。聴いてくださる方に合わせて工夫することで思いが伝わるよう、これからも努力していきたいと思います。

◆「ボランティア入門講座」の資料サンプルは、ホームページからご参照いただけます。下記リンクからどうぞ。
 ホームページ『社会貢献のかけはし』:「お手伝いメニュー ③市民の社会活動への参加促進」

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※この記事の元記事(ブログ『ボランティア雑記帳』)
 ボランティア講習会(前)
 ボランティア講習会(後)
 伝わった!
 共通点と相違点を考えよう
 【1/30(金)】「ボランティア入門講座」報告
 【2/27(金)】「ボランティア入門講座」報告
【3】NPOと企業の協働セミナー

 個人としてボランティア休職などの社会活動を経験してきましたが、一方で仕事としても勤務先の企業でCSR・社会貢献を担当しました。そのため、企業と社会の両方の視点から社会問題に取り組めるのが、私の強みだと考えています。そして、その強みを活かして、企業とNPOと市民の三者をつなぐ「かけはし」になりたいと思っています。
 「かけはし」となる活動のひとつが、【2】の「ボランティアの輪を広げる活動」で、市民の社会活動への参加を促し、市民とNPOをつなぐ活動です。そしてもうひとつが「NPOと企業をつなぐ活動」です。具体的には、NPOと企業を対象に「NPOと企業の協働セミナー」を開催しています。これまで3回開催し、今後も順次開催していく予定です。

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 ここでは、静岡市で開催した際の様子をご紹介します。まず最初に、NPO向けセミナー「企業の協力を得るコツ」を開催しました。
 「企業の協力を得たい」「でも、どうすればよい?」「話は聴いてくれるけど断られる」「企業CSR担当者ってどんな人?」「NPOに何を期待してるの?」・・・このようなNPOの疑問に答え、直近まで企業のCSR担当者だった立場から、企業との協働をどのように進めればよいか、そのコツを伝えるものです。

 内容は次の通りです。
1.企業の取り組みを知る
2.CSR担当者の素顔を知る
3.地域のNPO・企業の協働事例
4.よりよい協働のために、ワーク
5.おわりに

 企業がCSR・社会貢献について、何を考えているのか。実際の協働事例は、どのようなものがあるのか。そして、自団体が企業と協働する場合は、どんな提案ができそうか。これらを一緒に考える機会としました。私からは、「ついこの前まで、企業のCSR担当者として、NPOの協力依頼の訪問を受けていた」立場から、企業の担当者の本音や、「NPOと面談している最中にどんな気持ちで聴いているか」、といった生々しい情報提供をさせていただきました。そして、いくつかの事例をご紹介して協働のイメージをもってもらい、「ワーク」に取り組んでいただきました。
 「ワーク」では、企画提案のポイントを作成していただきました。企業のメリットや、自団体の強み・信頼性を、きちんと表現することに留意して、立案いただきました。そしてグループディスカッションを経て、全体で共有しました。

 アンケート結果は、「わかりやすかった」が96%、「有益だった」は100%と、とても高い評価をいただきました。自由記述欄には、「企業のメリット」「ヒントを得た」「企業側がNPOをどう思っているか」「アイディアが出てきた」「今後の活動に活かしたい」「わかりやすかった」といったキーワードが多く見られました。
 このセミナーを通じて、NPOの皆さんの企業との連携に対する期待が強いことと、しかし企業と一緒に何かをすることへの不安と迷いも強いこと、このふたつを改めて感じました。

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 続いて別日程で、企業向けセミナー「協働で、地域とつながり業績アップにつながる社会貢献を」を開催しました。「業績アップに繋がるCSRとは」「その手段のひとつとしてのNPOとの協働」について、お話しさせていただきました。
 CSR・社会貢献について、「負担だ」「一部の大企業のこと」「どう取り組めばよいかわからない」「できればやりたくない」と考える企業もあります。このセミナーでは、CSRが本業を後押しして業績アップに貢献できること、そして実際にそういう事例が多数あることをお伝えしました。そして最後に、NPOと企業それぞれの強みと悩み、協働すれば相互補完と相乗効果で双方にメリットを創出できることをご説明しました。

 企業向けセミナーの終了後、NPOと企業の交流会を開催しました。40名を超える方々が、熱心にお互いの情報を交換していました。NPOが自団体の活動をアピールするだけでなく、企業と一緒に何ができそうかを模索する。一方的な協力要請とは違う協働を探るやりとりです。NPO向けセミナーで宿題にしていた用紙を活用して提案するNPOや、リーフレットや商品サンプル等を持参してアピールするNPOも多数見られました。テーブルや参加者のカバンはアッという間に名刺や資料でいっぱいになりました。とても賑やかで、有意義な時間だったと思います。
 NPOと企業が熱心に話をされている様子を見て、「NPOと企業の協働」の潜在的な可能性と夢を強く感じました。多様な主体が協働することで、新たな価値が生まれる。その「かけはし」の役割を、今後も果たしていきたいと思います。

◆セミナーの資料サンプルは、ホームページからご参照いただけます。下記リンクからどうぞ。
 ホームページ『社会貢献のかけはし』:「お手伝いメニュー ②企業・NPOの協働推進」

<新聞記事>
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※この記事の元記事(ブログ『ボランティア雑記帳』)
 【2/18(水)】「NPOと企業の協働講座」報告
 【5/23,27】「NPOと企業の協働セミナー」報告
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